●大谷石の採掘方法(技術)
・採掘方法には、「平場掘り」と「垣根掘り」という2つの掘り方があります。
1. 平場掘り
この採掘方法は、下に掘り下げる掘り方です。手堀り時代の平場掘りで掘った跡には、横線の切りあとが石壁にみられます。
2. 垣根掘り
横に掘っていく掘り方です。この採掘方法は、伊豆長岡の青石の職人が、
明治末から大正初期に大谷に伝えた画期的な採掘技術です。手堀り時代の垣根掘りで掘った跡には、
縦線の切りあとが石壁にみられます。昔は技術と手間が必要なために、平場掘りの3倍の工賃を支払ました。
※なぜ「垣根掘り」が画期的な採掘技術なのか?
大谷石の地層は、きれいな石の層と、きたない石の層(ミソと呼ばれる茶色の塊を多く含む部分)が、
サンドウィッチ状に横の層になっています。そのため、「平場掘り」の技術しかないころは、きたない石の層を全部取り除いてから、
きれいな石を採掘したので、無駄な作業が多くコストも高くなってしまいました。そこに「垣根掘り」という技術が伝わり、
きたない石の層は掘らずに残し、きれいな石の層だけを層の傾きにそって横に掘って行くために、無駄な作業も少なくなり、
採石コストも低く抑えることが出来るようになったためです。
石壁に残る、手堀り時代の「平場掘り」と「垣根掘り」の掘りあと
●大谷石の採掘方法(技術)
大谷石採掘には、「平場掘り」と「垣根掘り」という2つの採掘方法を組み合わせた、
一般的には、「露天掘り」・「坑内掘り」と呼ばれるのいくつかの採掘の形態があります。
大谷石採掘の初期の形態。江戸時代以前の大谷石採掘がまだ盛んではなかったころ、
地上に露出している採掘しやすい石の部分を、出来るだけ奥深く掘って行くために、
石壁が斜めになっています。この採掘形態は、資料館の駐車場付近に見られます。
垣根掘りの技術が導入され、現在では、ほとんどの採掘形態が坑内掘りになりましたが、
それまでは、この露天平場掘りで採掘が行われていました。
石山の上に付いている土などを取り除き、山の高い所から平場掘りで、下に掘って行く採掘形態。
この採掘形態は、資料館の駐車場正面の石壁に見られます。
露天平場掘りで掘り進み、きれいな石の層に出たところで垣根掘りを入れて掘り進む。
丁場(採掘場)が広くなると、平場掘りで掘り下げて行く。雨が降ると水を汲み出すのが大変なため、
全体に屋根をかけたりする。
山の中腹のきれいな石の層より、垣根掘りで横に掘り進み、ある程度奥行きが出来ると、
柱を残しながら平場掘りで掘り下げて行く形態。資料館の地下採掘場跡は、この採掘形態です。
地表が土などに覆われ、石の層が地下深くにある場合などは、まず縦穴を掘り下げ、
大谷石の層に出たところで、垣根掘りで横に掘り進み、丁場(採掘場)が出来ると、
平場掘りで掘り下げて行く形態。この採掘形態は、大谷石の層が地下深くにある、
大谷町の南東地区に多く見られます。